映画「アメリカン・スナイパー」レビュー

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 2014年のアメリカ映画「アメリカン・スナイパー」の紹介とか感想とか。ブラッドリー・クーパー演じるクリス・カイルの実話を基にした物語。原作はクリス自著の自伝。

 政治的に中立を狙った本作品。クリスや家族の心に焦点を当てる時間はもう少し欲しかった。作中でノイローゼ気味のクリスが息子と戯れる犬を過剰に攻撃したり、彼の第二子の病院内での待遇に異常な反感を見せたりと、「心」が戦場から戻っていない事を裏付ける描写は的確だったが。

 左から見ても右から見ても興味深い作品だった。戦争映画は真実を描き切ることで真価を発揮すると思う。その点、「父親たちの星条旗」でもそうだったように、クリント・イーストウッドが好む(?)ひたすらな戦闘描写こそ本作をヒットに導いたのかもしれない。
 クリスにはタヤや子供達といった家族がいる一方で、敵の狙撃手・ムスタファにも同様に家族が居る。この描写は正義とは何なのかを訴えかけ、物事には二面性があることを的確に表現した描写だったと思う。

 ベトナム戦争も9.11も左翼は反対した。彼らは物事の一側面しか見ることが出来ないので知らないだろうが、欧米の戦争の背後には特定の団体(?)の影がある。負の一面を知ってしまえば「戦争反対」と言いたくもなる。保守とて争いは好まないからだ。
 しかし戦わねばならない「時」はある。ベトナム撤退は誤りだった。ではシリア撤退はどうなのだろうか? 真に必要であるのは戦争自体ではない。物事の背景を熟知し、その「時」に応じた臨機応変な対処が望まれる。
 あれだけ反戦活動に勤しんだ左翼が掌を返している様は滑稽に見える。彼らも特定の団体に扇動された「被害者」に過ぎないことを思えば、彼らが一刻も早く自我を取り戻すことを望んでやまない。